KINGDOM-キングダム【8巻】のあらすじや掲載話、登場人物のまとめと『すでにもう見た事がある方』も『これから見たい』という方にも、キングダムの魅力とキングダムを何倍も楽しむ方法を見どころとネタバレも含めてご紹介します。
なお、キングダムは現在アニメ化されていたり映画化もされており大人気となっていますのでこちらの情報も合わせてご紹介
キングダムのアニメ&映画情報
現在、放送されているキングダムのアニメや映画の情報です。
アニメ「キングダム」
第3シリーズ:2020年4月5日24:15からNHK総合で放送開始
Official Twitter
声の出演:
映画「キングダム」
2019年4月19日公開
出演:
前巻までのあらすじ
信の初陣となった蛇甘平原の戦い。
この戦いで信は一歩兵にも関わらず、破竹の勢いで功を積み上げた。
“本能型” 対 “知略型” の頂上決戦においては秦国・総大将 麃公将軍が魏国・ 呉慶将軍を見事に討ち取った。
秦軍は魏軍を相手に勝利を掴み信たちは帰国の途についた。
KINGDOM-キングダム【8巻】の収録話(ネタバレ注意)
第75話 過去
秦国・大王政が寝所で宮女・向(こう)にシカの話を聞かせるところから物語が始まる。
紀元前262年「韓」の領土であった上党(じょうとう)の地をめぐり、秦と趙が戦をした。
秦の「白起(はくき)」、趙の「廉頗(れんぱ)」がそれぞれ両国の総大将を務める。
両国が総力をあげたこの大戦は2年経っても決着がつくことはなかった
しびれを切らした趙王が総大将を廉頗から若将・趙括(ちょうかつ)にすげ替えたことで2年もの間、膠着した戦は一気に終結へ向かうのだ。
紀元前260年9月
当時、秦国・副将であった王騎将軍が若将・趙括を討ち取った。
大将・趙括を討たれた趙軍は降伏し40万もの兵が投降した。
投降した40万もの兵に対して、秦・総大将の白起はすさまじい決断を下す。
食料問題と反乱の根絶を理由に投降した40万の趙兵を生き埋めにしたのである!
これが「長平の戦い」である
この長平の戦いの数ヵ月後、趙の国都において秦の王族が誕生してしまった。
9年後の趙国・邯鄲(かんたん)
邯鄲の街中にある茶屋で男たちが揉めている。
秦国の身なりの整った男たちが、趙国の商人を相手に交渉している最中だ
秦の依頼を持ってきた男たちが"内容を話もせずに"依頼を受けるかどうか商人に迫っている。
趙の商人も内容を聞きもせずに受ける事なんてできるか!と突っぱねていた
揉めている男たちの間に一人の綺麗な女が割って入る。
「熱くなるのは商売の話だけでしょうが」
趙国側の商人・亜門(あもん)が女に返す
「久しぶりだ。元気そうだな。紫夏」
紫夏が空いている席に腰を下ろし話し出す
「私が知っている範囲で教えてやろう」
三日前に秦王が死んだ。その後、太子(たいし)だった「安国君(あんこくくん)」が王になり次の太子には子楚(しそ)という名の王子がなることに決定した。
※子楚は趙に十数年も人質として捕らえられていたが、呂氏(りょし)が軟禁されていた子楚を7年前に脱出させ秦国に帰国させた。
子楚は趙を脱出する際、子とその母親(趙の女)を連れて逃げることができず2人は趙に取り残されたままである。と言うのだ
趙の商人たちは察した
秦国の男たちの依頼は、子楚の子である「政」を趙から秦へ脱出させる計画だったのだ!
秦国の男たちは紫夏の情報通ぶりに驚いているがすぐに気を取り直し
「そこまで知っているなら話が早い。事の重大さがわかっただろう」と依頼を断れないように話を進めた
しかし、紫夏は「依頼を引き受けるかどうかは、政に直接会って決める」と言うのだ。
紫夏たちから少し離れた場所で町人たちが何やら大声で騒ぎ出した。
そのガキ捕まえろ!呪われた秦のクソだ!!ぶち殺せ!!
第76話 闇商
10数人の罵声を浴びせる大人たちに囲まれているまだ小さな少年。
政だ!また食い物盗みやがった。今日こそ逃がすな!ぶちのめせ
依頼を持ってきた秦国の男たち、趙の商人・紫夏たちも大人に囲まれているまだ小さな少年・政のみすぼらしい格好に驚いている
政を取り囲んでいた一人の男が前に出た。木の棒で政をぶちのめそうと振りかぶった
次の瞬間 小さな少年・政がジャンプして男の顔面に膝蹴りをお見舞いしたのだ。
蹴られた男が落とした棒を政は拾い、他の大人に殴りかかる
しかし取り囲まれている少年・政は大人たちによって、袋叩きにされる
その様子を見ていた秦国の男たちが刀を抜こうとするが紫夏が止める
あなた方が出て行っても騒ぎを大きくするだけだ。彼らも少年が秦の人質だと知っているので命までは奪えない。
政を袋叩きにしている大人たちは誰もが " 長平で家族が秦軍に殺された " と言いながら政を殴っている
一人が刀を抜いて政の腕を切ろうと言い出した!
これにはさすがの紫夏も大声を上げる
「やめろ!!」 政の腕を切ろうという大人たちの動きが止まった。続けていう
「あなた達がやっていることは秦人以下です」
大人のスキをついてその場を逃げていく政に石が投げられる。
政の頭に石がぶつかり血を流しながらも大人を振返り、睨みつけて走り去っていく政
政を袋叩きにしていた大人たちは政のかげ口を言っていた。
紫夏たち趙の商人らは政の情報を集めていた
集まった情報では
・7年前に政の父(子楚)が趙から脱出してからは秦からの仕送りが途絶え本当に政が餓えている
・政の母親も秦の王族を出産したことで酷い仕打ちを受けており、男を呼んでは日銭を稼いでいる
趙の商人たちは依頼の危険性や困難さを鑑みて、「依頼を受けない」と決定しその夜のうちに秦国の男たちに依頼の断りを入れた
紫夏が一人、月を見ながら歩いていると川原の端で寝転がって空を見ている政がいた
紫夏は政の横に座り話しかけた
「苦しみのどん底で見る月はいつも以上に美しく輝いて見える。
まるで自分をあざけり笑っているかのよう。しかし、義父がそうではないと教えてくれた。" 月がいつも以上に輝いているのはくじけぬように励ましてくれているのだ "」と
政は紫夏に礼を言った。
腕を切り落とされずに助けてくれたこと、月の秘密を教えてくれたこと。。。
政が町のはずれにあるボロ屋に帰ると男たちが家の中にいた。
「また男か・・・」政は何も言わずにフラフラと歩く
家の中にいた男たちの一人が政を呼び止める
お待ちください政様!秦への帰還のときが参りました!!秦へ帰るのです!
政が頭を抱えて突然その場に倒れた。倒れた政を抱えて走り出す男たち
その様子を遠くから趙の商人・紫夏たちが密かに見ていた。
紫夏たちは18年前に敵国の兵に追われていた商人・紫啓(しけい)にたまたま拾われた身であった
「もしも、あの時・紫啓が拾ってくれなければ私たちは死んでいた。そして今、我々の目の前に手を差し伸べなければすぐにも殺されてしまう一人の少年がいる。迷うことは無い我々がすることは明白だ」
闇夜の晩に政を馬車に乗せて走る秦国・道剣たちその馬車に紫夏たちの馬車が並走する
「この仕事引き受けましょう。闇商・紫夏の名において政様を秦にお届けします。」
第77話 関所抜け
政が馬車の上で「ハッ!」と飛び起きた。
「関所までしばらくかかるのでゆっくり休んでいてください。」と声をかける紫夏。
趙国を抜けるまでに通過する必要のある関所は5つ。関門さえ超えられれば、秦へ行くことが可能だという
秦国の男たちは5つの関門抜けの話に焦りだす。
商人・亜門曰く
関門抜けは大した事じゃねぇよ。正体がバレたら政は連れ戻されて残りは全員斬首。さらし首だ。
大人の男たちは言い争っている。
政が心配そうにしていると、紫夏が政を安心させてくれた
「ご心配は無用ですよ。この紫夏が必ず無事に秦までお届けします。」
第一の関門 - 会安(かいあん)
紫夏らの馬車が1つ目の関門に到着したが、門の大きさに秦の男たちはびびっている。
紫夏たちの先に関門の検査を受けているものたちが捕らえられさらに恐怖を覚える。
「よし次ィ!」
ついに紫夏たちの番だ
紫夏は平静で「まいど!」関門の番人も「オウ」と返す
アッサリと1つ目の関門を通過してしまった。
秦の男たちはあまりの呆気なさに声をあげる「何だ今のは!?あれだけで通れるのか!?」
紫夏は説明した。「普段から違法なものを運ぶ闇商は常日頃から手回しを怠らない」
亜門が付け足す。「紫夏だからできるのだ。闇商全員がすり抜けられる訳じゃねぇぞ!」
関門を通過するまでの間、米俵の中に隠れていた政に声をかける
「政様もう大丈夫ですぞ」しかし、政はグッタリとした様子で意識を失っていた
政を乗せた馬車は闇夜の田舎道を走っていく。
政は悪夢を見ていた
地の底から埋められた人間の手が伸びて政にまとわり付き亡霊が政に告げる「秦に帰って秦王にお前が!?冗談だろ!」うなされていた政が「うわあ!」と飛び起きた
紫夏は政の様子がおかしいことに気づいていた
第二の関門 - 青郭(せいかく)
青郭の関も紫夏の手回しの行き届いている関門だ
関門の番人は紫夏に気があるのか、紫夏を茶に誘う。紫夏はやんわりとこの誘いを断っている
その時、番兵の一人が何を思ったのか馬車の荷台にある政の隠れている米俵に矢を放ったのだ!
たまらず声を大にして叫ぶ紫夏「おい!」
番兵は買ったばかりの弓の試し射ちをしたのだという。
関門の番人もバツが悪そうに紫夏たちに対し「もう行っていいぞ」と告げる
関門から少しはなれ米俵の中の様子を見ると、米俵と政の手のひらを矢が貫通している
秦の男が政の手に刺さった矢を引き抜いた。
紫夏は政の様子に明らかに不可思議さを感じている
穿たれた矢を抜かれ眉一つ動かさぬ人間がどこにいる?この子はいったい・・・
第78話 孤独
紫夏の一行が趙国・邯鄲を出発してから4日。最後の関門・呂干(ろかん)に迫っていた。
最後の関門・呂干(ろかん)
「ちょっと待てい!!」紫夏たちの馬車が止められた
半数も見知らぬ男がいるのはどういうことだ?と問い詰められる紫夏。
しかし、「人手不足で途中の村で雇ったのだ」と上手く切り抜ける
何とか最後の関門を抜けた一行は先を急ごうとしたその時、後ろで先ほど通過したばかりの呂干の関門が閉められた
緊急閉鎖の狼煙が上がった!
紫夏が一向に告げる
趙の騎馬隊は速いぞ!ここからは偽装の必要はない全速で国境を目指す!
政を乗せた馬車は全速力で田舎道を走っている。もう少しで秦の味方との合流地だ。秦の男が紫夏に礼を告げる
政がカタカタと小刻みに震えている。明らかに様子がおかしい!
政には幻覚が見えており、幻覚の自分自身が政に告げる
「お前みたいな壊れた奴は王になってはならない!!いつまで荷台に乗っているつもりださっさと降りろ!」
突然、全力で疾走する馬車の荷台から政が飛び降りて駆け出してしまった!!
馬車を止めて紫夏が政を追う。
政は林の茂みの中に入っていった。紫夏もそれを追った。
政が紫夏に告げる
「来るな!おれは秦へは帰れぬ!」そして自分の腕を尖った木の枝で突き刺し絶望的な顔で言う
「痛みが無いんだ!味も、匂いも、俺はもう何も感じないんだ!壊れているんだそんな奴が王になどなれる訳が無い」 「物心付いたときには自分が王族と知り幸運と名誉に心が震えた。しかし一歩外に出ると敵国のど真ん中。
長平で40万人を虐殺した秦への憎悪が自分に降り注がれた」という。
政の心は絶望の日々に虐待を積み重ねられて精神が閉ざされたのだ。。
政の話に紫夏は涙を浮かべながら言う
あなたはちゃんと感じていますよ。あの晩一緒に月の輝きに一緒に感動したじゃありませんか。
私がついています。一緒に秦へ帰りましょう。
第79話 亡霊
国境近くの関門・呂干に王命を受けた三黄旗(さんこうき)を付けた早馬が到着した。
関門の責任者を呼び出して問いただす。「紫夏という商人がここを通ったか!?」
「ハ・・・ハイ。半日ほど前に・・・」と返すと騎馬隊が関門を抜けて猛スピードで駆けて行く。
林の中で話す政と紫夏
政の目には幻覚の亡霊が見えていた。「離れろっ紫夏!俺に取り付いている亡霊がお前にもっ!」
紫夏が政の着物の襟を掴んで叫ぶ!
「しっかりしろ!全部ただの幻だ!!!」そして倒れ掛かる政を紫夏が抱きしめた。
政の記憶の中で人に抱きしめられたのは始めてであった・・・
紫夏が政を抱きかかえて戻ると馬車を全速力で飛ばした
後方に砂煙が上がっているのを見つけた
追っ手の騎馬隊が近くまで来ているのだ。
紫夏が「戦いの準備をしろ」と一向に指示を出し、戦いながら逃走するという。
道剣たちの合流地「赤松の池」は国境の向こう側だ。合流地にたどり着く前に騎馬隊に追いつかれてしまう。
騎乗していた紫啓が亜門に声をかけた
「子供ン時に決めた約束忘れてないだろうな。三人の中で一番最後に死ぬのは紫夏」
亜門が答える「あいつをモノにできなかったことだけが心残りだ。せめて告白くらいしとくんだったワハハハハ!」
「俺はしたぜ。あいつは断って義父の後を継ぎやがった」と紫啓
紫啓が紫夏にフラれた話に紫啓と亜門の2人は大きな声で笑っている
一向の仲間で秦の男・田滋(でんじ)が騎乗した馬が馬車を離れて飛ばしている。
田滋に対し飛ばしすぎだ!と道剣が声をかけた瞬間
田滋の身体に槍が突き刺さり田滋は落馬して後方に転げ落ちていった。
崖上に趙の騎馬隊が待ち構えていたのだ
紫夏の操る馬車に趙の騎馬隊・数十騎が近づいてきたが、
「うちの大将に近づくな!てめぇ!」亜門が馬車と騎馬隊の間に割って入る。
亜門が笑顔で紫夏に告げる
「紫夏。あばよ!」
手綱を引いた亜門が趙の騎馬隊・数騎を道連れに後方に消えていった。
第80話 訣別
涙を流しながら亜門の名を叫ぶ紫夏。紫啓も悲痛な表情で叫ぶ「ちきしょオォっ!」
趙と秦の国境付近 -合流地の「赤松の池」-
昌文君が見張りに高い木の上から脱出班の姿を探させ、騎馬隊にはいつでも出られるように声を張り上げていた
道剣は馬車の後ろに追いすがる趙の騎馬隊を見て覚悟を決めている
政は荷台に横たわったまま、無数の亡霊に深い水の中に引き込まれる幻を見ていた。
そこに紫夏の腕が伸びて政を引き上げようとするが亡霊の一人が政を呼び止める
「王族の身ながら敵国に生まれたお前の思考はひたすら内に向かい自問自答を繰り返してきた」
「戦争・人・国・王について。そして胸に未だ且つて誰も歩んでいない恐ろしい王の道を描いている。やめておけ・・」
闇に沈んでいた政に紫夏は手を差し伸べてくれた。政が笑顔で「おれは秦へ帰り王になる」亡霊に告げると目を覚ました。
政が目を覚ますと、馬車を操っている紫夏の腕に矢が刺さっている
紫夏は優しい顔で政に「流れ矢が来ますので頭を下げておいてくださいね。」
後方からは騎馬隊が弓を打ってきている。政と同じ馬車に乗る道剣が木の板を楯に応戦していた
紫夏もここまでの疲労が溜まっているのか、腕に矢を刺されたまま冴えない顔をしている。
突然、政が叫んだ!
「あきらめるな!!矢も尽きていない。馬も走っているまだうなだれる時ではないぞ」
政の突然の覚醒に紫夏・道剣・紫啓の3人はハッとした
政が紫夏の傷口を布で縛って矢を引き抜いた。道剣は政の言葉に「オオオオ!」と叫びながら矢を連射する!
趙の騎馬隊・隊長が命令する「一点総射!!」
道剣の身体に無数の矢が突き刺さり「無念・・・政様お許しを」と馬車から転げ落ちた
もうだめだ・・・
紫夏が義父・紫啓に心の中で頂いた命を次につなげなければ・・・思っていると
前方に砂埃がみえた!
紫夏が政に手綱を握らせ、紫夏は弓の準備をする。「最後まで力を尽くすんです。あきらめずに」
第81話 別離
手綱を握った政も前方の砂埃に気づいた。合流地の味方の兵たちが向かってきているのだ!
馬車に並走していた江彰の胸に騎馬隊の打った矢が刺さった。
口から血を流しながら「亜門みてぇにかっこよくは逝けねぇみたいだな」
「一秒でも長く生きろよ紫夏っ!」そう言うと、馬を反転させて敵の騎馬の中に突っ込んでいった。
残っているのは馬車の手綱を握る政と紫夏だけだ。紫夏は死んでいった亜門と江彰の二人に心の中で謝った。
「オオ!」と弓を構える
紫夏の弓が敵兵に命中した!
板の陰に隠れて弓を討つが紫夏の手のひらに敵の矢が貫通する!
呻きながらも紫夏は刺さった矢を自分で引き抜く
血だらけになりながらも弓を引くが、狙いが定まらなくなっている。
趙の騎馬隊も前方の砂埃を発見し、秦の迎えが迫っていることを察知した
騎馬隊・隊長が叫ぶ「まだ遠い!馬車に乗り移り政の首を取ってこい!!」
紫夏は義父に拾われたときのことを思い出していた。
義父は紫夏を拾った後、他のものを助けようとして亡くなった。義父の言葉「恩恵は全て次の者へ」
そうやって人はつながってゆく。。
紫夏が血を流しながら叫ぶ「殺させないっ!!!」
政の目に秦の騎馬隊が見えた!「がんばれ紫夏!もう少しだ!」
趙の兵士が叫ぶ「なんだこの女!殺せ!」
昌文君が目の前で叫ぶ!「政様ァァ!!」
政が振返ると、紫夏の身体には槍と複数の矢が刺さり宙を舞っていた。
昌文君ら秦の騎馬隊が趙の兵士たちを掃討した。
紫夏の身体を支えながら涙を流す政。 紫夏が目を開けて言う。 「おケガはありませんか?」
答える政「お前のおかげでおれは秦へ帰れる。お前のおかげで俺は王になる。」
紫夏は息も絶え絶え政に告げる
「あなたほど辛い経験をして王になる者はほかにいません。あなたは誰よりも偉大な王になれます。。つきものは落ちましたな~瞳がなんとも美しい・・・」
紫夏の息が絶え、政の声がこだまする「紫夏アアァ!」紀元前251年- 秦王都・咸陽
9歳にして政ははじめて祖国の地に足を踏み入れたのである。
第82話 百将
紫夏が息を引きとり、国境を越えたときに左手に痛みが戻ったという政。人の体は不思議だという
政の横で、話を聞いていた宮女・向は号泣していた。
紫夏の話を人にしたのは初めてだという。
政は自身の中で何かが変わってきているのを実感していた。
信と河了貂の二人は市に買い物に出てきていた。
河了貂は「すげーな市って!」と初めての市場を満喫している様子
「今日は俺の甲冑を買いに来たんだ」という信
二人が武器屋に入る。
武器屋の主人に親父のお使いと勘違いされ、「自分が着る甲冑だ」と言うと店を追い出される信と河了貂。
いくつかの店を回ってみたが " ガキのひやかし " と思われて甲冑が買えない
気を取り直して飯屋に入る二人
「見ない顔だな」と飯屋の主人が声をかけた
「3つも向こうの村から甲冑を買いに来たんだ」と答える信だが、
飯屋の主人にも「おーえらいな。親父のおつかいか」とまたもや勘違いされる始末。
「第4軍で活躍してもらった金で甲冑を買いに来た」といっても
「その年で嘘ついてるとロクな大人にならんぞ」と相手にされず信がブチ切れた
そこにデカイ男が入ってきた。
「らっしゃ・・あっ!田有さん」と声をかけ「本当の第4軍の英雄だ」という店の主人
信に気づいて同じテーブルに座った。田有は周りに人垣ができるほど人気だ
田有が信を紹介する
「この少年こそ先の対 魏大戦で活躍して一歩兵から一気に百将にかけあがった信だ」
「信がいなければ第4軍はおろか戦自体どうなっていたか分からん」と信をべた褒めだ。
田有と信らを取り囲む人垣から「オオオオオオ!」と歓声が上がった!
田有が続ける
「お前の部隊で戦いたいと思っている奴はきっとおれだけじゃないぜ。こんなに次の大戦が待ち遠しいのは初めてだ」「俺の部隊はとんでもなく大変だぜ。へへっ」と拳を突き出して信が答えた
その後は田有が信の甲冑の買い物を手伝い無事に(?)信は甲冑を買って帰ったのだ。
帰り道で信は同じ伍の仲間であった羌瘣(キョウカイ)と偶然出会った。
その日の夜
王都 - 咸陽で異変が起きたのだった
大王・政派の側近である昌文君に協力する大臣たちが一晩で11人も刺客に殺されたと言うのだ。
昌文君の屋敷に副官・壁ら配下のものが集まっている。
昌文君の話によると刺客の数が多くその種族も様々
分かっている刺客だけでも、号馬(ごうま)に堅仙(けんせん)そして朱凶(しゅきょう)
何者かが大々的に我らを粛清しようとしているのは確かだ!と怒る。
第83話 蚩尤
一晩のうちに政・昌文君の協力者たちが15人も暗殺された。
政界の極みを目指す昌文君にとってはあまりにも大きすぎる痛手である。
副官・壁は相手がだれなのか思慮を重ねるが答えが分からない。
王弟派の竭氏(けつし)の残党による犯行なのか?
王弟の反乱に加担した竭氏(けつし)の残党を率いている肆氏(しし)の犯行なのか?
壁は今夜も敵が来ることを見据えて屋敷の守備を固くして門を閉ざす。
刺客たちがある屋敷の庭に集結していた
号馬(ごうま)、堅仙(けんせん)、赫力(かくりき)、朱凶(しゅきょう)そして蚩尤(しゆう)だ!
なんとそこにいたのは、先の戦・蛇甘平原で信と共に戦った"羌瘣(きょうかい)"の姿である!
刺客たちが蚩尤の登場にザワつき、朱凶の3人が蚩尤・ 羌瘣の前にひざまずく
「お目にかかれて光栄です」
200年以上も前の話だが、朱凶は元々蚩尤に仕えた一族
蚩尤とは闇世界で一先年も前から魔物と恐れられた幻の一族だ
昌文君の屋敷に副官・壁が入り警戒している。
そこに「正門に肆氏が現れた!」と急報が告げられた
肆氏が昌文君に対し、「文官の戦場」の怖さに気づくべきだ「文官の世界でのし上がるのなら常に最悪の事態を想定しろ」というのだ。肆氏は刺客を影で操っているものの真の狙いにすでに気づいている。昨夜暗殺された大臣たちの役職は全て王宮の警備に関するものたちだったのだ。
昌文君もようやく気づいた「敵の真の狙いは大王様か - 」
王宮では
警備の兵士たちが刺客に無残にも虐殺されていた。
悠々と王宮内を歩く刺客たち
秦王・政の寝所まであと僅かのところまで迫ってきていた。
突然、廊下の暗闇から吹き矢が飛んでくるが、刺客はこれをかわした!
信と河了貂の二人が刺客たちの前に立ちふさがった!
「闇夜に紛れて寝首を狙うようなクソ共は 全員たたっ斬る!」
第84話 刺客急襲
昌文君と肆氏が馬車で移動しながら信が王宮に潜り込んでいる話をしている。
昌文君が一体どうゆうことなのか肆氏に問う
肆氏曰く
おれの息のかかった者は要注意人物にされており王宮に潜ませることができない。
半年前の王弟反乱の際にことごとく王弟側のたくらみを粉砕したものがいたことが分かった。
そいつは一人で朱凶・ムタ・左慈(さじ)を討った。王宮の情勢に無関係なただの下僕の少年が・・
敗れた側だからこそ身に染みて信の厄介さが分かる。
つまり、王宮に信を送り込んだのは肆氏だと言うのだ。
信は9人の刺客を相手に一人で奮闘していた。
刺客は着物の中に太い針のような武器を潜ませており、攻撃にもまた防御にも着物の中に潜ませた武器を使ってくる。
9人の刺客は堅仙(けんせん)の一族だ
てめぇらを地の底に送ってやる!信が堅仙に向かいダッシュしジャンプした。
堅仙たちもジャンプするが、信はさらにその上を飛び一人目の堅仙を斬り付けた。
大王・政は寝所で宮女の向と話をしていた。
向は窓から外に見える月をボンヤリと眺めていた。
窓から外を眺める宮女・向をはるか遠くにある王宮の屋根から刺客が見つけた。「見えたぞ!王の寝室がな!」
一方、信は一人で堅仙たちを相手に一歩も引かない。
いや、引かないどころかむしろ堅仙たちは4人目が信に倒されたところだ。
河了貂は信の戦いぶりを見て、半年前とは信が比べものにならないほど強くなったことを感じていた。
その時、王宮の屋根を走る人影を見つけ河了貂を政の元に走らせた。
河了貂が王宮内を急いで走っていると角を曲がったところで強面の屈強な男たちの集団に捕まった。
そこに現れたのは羌瘣だ。。。
第85話 羌瘣舞う
河了貂は昨日、信と甲冑を買いに行ったときに羌瘣と会っている。
羌瘣がその際に忠告と称して「王宮には近づくな。行けば必ず命を落とすぞ。」と言っていたことを思い出した。。
河了貂は考える・・・
咸陽から政の危険を知らせる使者が来たのは今朝だが、羌瘣は昨日の時点ですでに政が狙われることを知っていた・・・そして今、王宮にいるという事はこいつも政の命を狙う刺客なのか・・!?
河了貂を捕まえているゴツイ男に羌瘣が告げる
「その子とは一度あったことがある。だからこっちに渡せ」
ゴツイ男たちは 「どのみち同業者は始末するつもりだった。まずはお前だ」と返した
信は立て続けに堅仙を7人斬った。残る堅仙は2人だけだ!
残った二人の堅仙は冷や汗を流しながら「一度退く」と言い残し信の前から去って行った。
羌瘣はゴツイ大男たちと対峙していた。
男たちは「赫力剛拳!!」と叫び素手で王宮の石壁をぶち壊すほどだ。
赫力(かくりき)族の扱う拳法は気の力で身体を硬化する術
赫力の男たちが一斉に羌瘣に襲い掛かった!
「スヒン!」
羌瘣が両手を広げて舞った。
二人の赫力が胴から上を切り離されてその場に倒れる。
他の赫力たちが羌瘣に向かってくるが一瞬のうちに最後の一人を残して赫力族を皆殺しにしてしまった。
生き残った赫力の男が言う。
「俺達の硬化術に剣はきかねぇんだ。それを一瞬で八人も・・・この化け物が・・・・!」
信が河了貂の後を追って走ってきた。あたりには赫力族の死体が転がっている。
信は河了貂に羌瘣がいることを聞いた。
河了貂は怯えた様子で信に「羌瘣の強さは普通じゃない」と伝えるのだ
大王の寝所では、宮女・向がグッスリと眠っていた。
大王・政は剣を片手に扉の横に立っている。
政が寝所の扉を開け放ち飛び出した!そこに居たのは信と河了貂の二人だった。
キングダム8巻の主な登場人物
キングダム8巻の見どころ
8巻・第75話~第81話に収録されている政と紫夏の物語は本当に深い話で何度読んでも感動してしまいます。
まだキングダムを読んだことが無い人はぜひ8巻を読んでいただき、キングダムのストーリーの深さを味わってください。
趙の商人・紫夏と人質として趙に囚われ続けていた秦王・政。
紫夏の政への優しさは自身が過去に受けた義父からの優しさだったんですね
これまでは敵との激しい戦いを描き続けていたキングダムですが8巻でいっきに物語の深みを増しました。
キングダムの人気の秘密は伏線として描かれているモブキャラたちが実はストーリーに深い重要な意味を持っていてそれが後々の話で登場したときには何倍もの役割を持って登場してくるところにあると思います。
また、信が甲冑を買いに行く第82話「百将」では田有が信の活躍っぷりを見事に伝えてくれています。
初陣で少年兵がいきなり百将にまで抜擢されるなんてすごすぎて震えが走りますよね。
とっても面白い8巻の「政と趙の商人・紫夏の物語」はコミックス必読です。
キングダムを全話イッキ読みするなら1ヶ月無料トライアルのできるU-NEXTが断然オススメ
コメント